日々進化していく中古パソコン
アメリカでは総住宅価値のうち年々一・9%の補修投資をしているのに対して、日本は住宅の品質維持のために、アメリカの10分の一以下しかお金を使っていないことになる。
このように住宅を大切にせずに、住宅の寿命を短くしている原因は何であろうか。
これまでの章で、日本では土地を非常にむだに利用していることを説明してきたが、住宅についても同様である。
非常にむだな投資をして、住宅を乱暴に扱っていることがわかる。
せっかく造られた住宅ストックも、維持補修されず、老朽化が進むと簡単に取り壊されてしまうというのが、日本の住宅の姿である。
これに対して、アメリカやイギリスの住宅寿命は非常に長く、住宅をていねいに使い、またそれらにお金を使って住宅の品質を維持しつつ、寿命を長引かせていることがわかる。
手抜き工事の判定はむずかしい。
それでは、どうすればこれまでの事実を説明することができるだろうか。
この問題のカギは、情報の非対称性にある。
情報の非対称性の経済学は、197O年以降、急速に分析が進んだ分野である。
その結果、それまであまり分析されてこなかった品質の問題を、積極的に分析することができるようになった。
情報の非対称性とは、買い手と売り手の聞に、財やサービスの品質について情報の格差がある状態をいう。
経済学のこの分野では、買い手と売り手の一方がより多くの情報を持っているときに、どのようなことが生じるのかを詳細に分析する。
賃貸借市場と同じように、中古住宅市場の売買についても情報の問題が発生する。
それは私たちが住宅を購入する際に、いつも直面する問題である。
よく報道されているように、手抜き工事のために土台が傾いたり、地震にきわめて弱い住宅がたくさん建設されている。
耐震性能や住宅の品質についての情報は、買い手にとって簡単に手に入るものではない。
毎日毎日、工事現場で素人が見守っていても、住宅のどこに手抜きがあったかを確かめることは容易ではない。
専門家が建築現場に立ち会えば、手抜きや欠陥があることは容易に見つけることができるだろう。
これに対して、すでに建築された住宅については、性能や品質をチェックすることは非常に困難であるといわれている。
中古住宅のようにすでに造られた住宅の品質を審査、チェックすることはむずかしい。
この意味で、中古住宅は日本においては、あまり有利な投資商品とはいえない。
中古住宅を購入するときには、不動産屋のいうことを信頼するほかはない。
カスタムメイドが合理的だった。
従来、家を購入する方法は、信頼できる工務屈に建築を依頼するか、信頼できる開発業者や不動産業者から新築住宅や中古住宅を購入するしか方法はなかった。
いったん住み始めてしまえば、それにどのような欠陥があったとしても、責任を求めることは非常に困難である。
新聞で報道されているように、誰が見ても明らかな欠陥がある場合を別とすれば、欠陥があったとしても、それがどのような理由によって発生したか、客観的に証明することはむずかしい。
自分たちの使い方によるものでなく、もともとの理由であることを第3者に証拠を挙げて説明することは容易ではない。
このように中古住宅については、売り手と買い手の聞の情報の非対称性とともに、買い手と第3者、あるいは裁判所との聞に情報の非対称性がある。
その結果、日本では中古住宅市場は十分に発達してこなかった。
買い手にとっては中古住宅を購入することはあまり有利な買い物とはいえない。
売り手にとっても適当な値段で買い手を見つけることは困難である。
その結果、中古住宅市場の売買量は低い水準にとどまっており、きわめて低い値段でしか売買されていない。
また、中古住宅市場が整備されていないことを前提にすると、新築で住宅を買ったほうが有利であることがわかる。
中古住宅市場よりも、とにかく頭金を貯めて、新築住宅を購入するほうが有利である。
もちろん現実には、中古住宅を売って住宅を買い替えたいと考えている潜在的な買い手や売り手がたくさんいるにもかかわらず、適当な価格での買い手が見つからないために、潜在的なミスマッチがたくさん存在している。
借家に住むよりも、中古でもいいから買いたいと思っている買い手もたくさん存在する。
中古住宅市場の売買をあきらめた人々は、新築住宅市場や借家市場に出かけざるをえない。
そして、新築住宅市場で家を買ったら、その住宅を滅失するまで利用するのが合理的な方法である。
中古住宅で売却できないのだから、もともと新築では標準的な住宅を求める必要はない。
人々は、自分に合ったカスタムメイドの注文住宅を得ることになる。
アメリカでは標準的な住宅が多い。
これに対し、アメリカでは注文住宅はきわめて少ない。
ビパリーヒルズの豪邸などはもちろん注文住宅であるが、それは例外である。
多くの平均的な所得水準の人たちが求める住宅は、建売り住宅である。
郊外に行けばわかるように、同じような住宅がたくさんならんでいる。
これらは、きわめて合理的な供給方式といえる。
なぜなら、彼らにとって住宅は自分たちが住むためのものであると同時に、中古住宅市場で将来転売するものだからである。
その意味で、標準化された住宅、すなわち多くの平均的な人たちが望むような住宅を購入することが、売却するときにも好都合である。
つまり、標準的な住宅は平均的に高い値段で売却することが可能である。
これに対し、日本の住宅のような注文住宅は、個人の好みによってつくられるため、多くの人たちの好みには合っていない。
したがって、それを売却しようとすると、あまり良い売り物とはいえない。
日本では中古住宅市場が発達していないために、もともと住宅を中古で売ることがでつまり、住宅の所有者は将来売ることを考えていないのである。
その結果、注文住宅のますます買い手がつかなくなってしまう。
これが中古住宅市場の取引を少なくしている。
格付けの活用が有効。
日本の中古住宅市場を整備して、取引を活発にするためには、どうすればよいだろうか。
自分たちの住宅が質の良いものであることを証明する方法が、これまで存在しなかったことが、この中古住宅市場のいちばんの問題点である。
この情報の非対称性を解消するためには、証券市場で用いられているような格付制度を用いるのが有効である。
金融市場では、第3者が金融資産の品質の違いを審査して評価することによって、一般の投資家は大きな利益を得る。
危険の程度がどのくらい違うかということを公開することによって、買い手は安心して投資を行うことができる。
これを住宅市場に導入しようというのが、最近の傾向である。
最近では、住宅性能保証制度や、耐震性能を客観的に評価する制度が考えられている。
また、保険会社が住宅の品質についての保険を積極的に売り出そうとしている。
20OO年9月から施行された「住宅品質確保促進法」では、住宅の暇庇保証制度と住宅性能表示制度が導入された。
第一に、暇抗保証制度のもとでは、新築住宅の基本構造部分に10年以内に欠陥が発見された場合、住宅の購入者が供給者に対して、無料修理や賠償金の支払いを請求できる。
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